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真に大切なことだけ残る。 [ステーショナリー]

数年前から、ある業界新聞2社の
連載コラムに寄稿している。
ともに長年お世話になっている
編集者からの頼まれ事だ。

1社は毎月、もう1社は四半期ごと。
ともにどんなテーマで書くかは自由、
かつ、ペンネームでの執筆。
とはいえ浅学非才ゆえ
枯渇しそうな知恵を絞り、悶絶しながら
何とか続けている。

そんな中で、
つくづく実感するのは、
文章作りとは、
決められた文字数内に
如何に収めるかの、
文字削りと磨き上げの作業だと。

例えば文字枠が560文字の場合、
だいたい650文字程度を意識して
内容と筋立てを決めて、
比較的無頓着に書き込んていく。

その上で、接続詞の必要性や、
展開と言葉のリズム、
若干の捻りを盛り込んで
削っては言葉を変え、
変えては削って、文字総数を減らす。

最後は、必要な言葉が
必要な順序で並んでいる。
仕上げたときは勿論、
自己満足だが光沢がある。

ところで、昨日会社で
2023年度の仕事を終えた。
月曜の4月1日は、
2024年度の仕事始め。
その支度として
今朝から手帳の手入れ。
オイルと布で本皮を磨き、
中身のページを吟味した。

僕はこの数年、
システム手帳のミニ6穴、
fILOFAXのNAPPA、
PocketSlimを愛用している。

手のひらサイズであり、
さほど厚みはない。

だからページ数に限りがあり、
如何に必要なリフィルだけを残すか、
この作業が悩ましくも
実は楽しくて仕方ない。

月間スケジュールページは
3ヶ月分しか入れず、
週間スケジュールは2ヶ月のみ。
あとのリフィルは
頻繁に確認する計数や情報、
自分にとって大切な言葉のページ。

これらを自分の好きな順番に
入れ替え、差し替えしながら
手帳を耕して、熟成させていく。

思えばこの作業、
文章作成の文字削りと似ている。
限られたスペースに
如何に大切なことだけを残すか、
最適な順番に配すか。
それは真に大切なものを
浮き彫りにする、知を伴うだけでない
心の作業である。

手帳と文章作成の違いは、
文章は読者のためにあり、
手帳は自分のためにあるということ。

いずれも、想いとか真心を宿して、
磨き上げれば、そこに喜びがある。
その喜びを手手帳に刻んでいく。

今年度もお疲れさま、
来年も仕事も執筆も気張れよ!
と自分に言い聞かせ、
今日の筆を置く。

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それぞれの選択〜手帳の佇まい(26) [ステーショナリー]

今年も早くもそんな頃合い。
来年用の手帳の支度。

伊東屋さんの第7回「システム手帳サロン」が6日(金)に本店10階で始まった。
毎年顔を出しているが、ここ数年前の僕の関心は新作の付属品(リフィル類等)。

この30数年で20数冊のシステム手帳を買ってきたので、もう本体を新調する必要はない。それより既に我が人生と共に歩いてくれた品々を愛でながら、その本革を熟成させ深めていきたい。

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今はfILOFAXのNAPPAを2冊を愛用。
バイブルサイズ(パーソナルスリム)とミニ6穴(ポケットスリム)だ。
バイブルの方には「スケジュール(マンスリー)」と「ライフ(生活信条)」「各種データ」を綴じ、ミニ6穴の方には「スケジュール(ウィークリー)」と少々の「データ」を入れている。

NAPPAは、柔らかくしっとりした革の手触りが良く、光沢も素晴らしく、ページの開きかげんも良い。この2サイズを親子セットのように、もう5年使い続けている。
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勿論、来年もこの2冊で行く。 
かつてのように、自分にとっての苦労や壁に直面しても、げんを担いで、手帳を変えたりはしない。もうよい歳であり、経験でその必要がないと知ったからだ。

ところで、伊東屋さんの「システム手帳サロン」への食指が動く付属品について、僕の思い入れがひとつある。

伊東屋さんの「システム手帳サロン」では数年前までマルマンのノートシリーズ「Mnemosyne(ニーモシネ)」製のリフィルノートで
伊東屋さんのこのイベント限定品(N155)があった。それはバイブルサイズの方眼リフィル80枚を一冊のリングノートに束ねたもの。
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上等な紙質で、しっかり6穴が空いている。
普通にリングノートとしても使えるし、
ミシン目部分からリフィルを切離せば、
記載内容の分類ごとシステム手帳にセットすることも出来る。
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分厚くないので、かさばらず、鞄の中でもスマートに収まり、重くなく、高級感と実用性を兼ね備えた逸品であった。

これが数年前からか、同イベントで販売しなくなり、その後も伊東屋の店員さんに何度か訊いたが、既にバイブル版は製造しておらず、通常手に入れることが出来ないとのこと。

僕は、最後に同様商品が扱われていた「システム手帳サロン」で10冊(2日間で)まとめて買った。なぜなら、その前年の同イベントでこのノートは確か2日目くらいに売り切れてしまったからだ。だから需要は十分にあると僕は思っている。あの時僕が買った10冊もはや残り少なく、丁寧に使っている。

同様の製品はなくはない。例えPLOTTERのリフィルノート。これはニーモシネのそれと同様の作りで システム手帳に挟めるし、バインダーにそのノート本体をバインドすることも出来る大変優れた作りになっている。また、リングノートではないので、さらりと簡単にページがノート本体から剥がせる。 
その実、僕に限ってはそれが難点で、例えばそのページに貼った付箋(ポットイット)を剥がそうとした場合、ページそのものもノート本体から剥がれてしまうのだ。

そんな僕なりのこだわりがあり、ニーモシネ製を探しまわったが、これほどの高級素材を使ったバイブル版は見つからなかった。万年筆で書くことが多い僕にとって、このニーモシネの材質はうってつけなのだ。
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とはいえ、何かにそんなに執着する歳ではもはやない。あるものを、手に入れられるものを、可能な限り使い尽くしていくこと。

ないなら、ないなりに暮らし、過ごしていくこと。今あるものを修理したり丁寧に手当てし、使いこなしていくこと。

そういう価値観、美学を持ちたいものです。日々生きていること自体に感謝ですから。そんなふうに思っています。


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きらめきの造形美、やすらぎのフォルム [ステーショナリー]

その姿、佇まいを見るだけで至福。
使い勝手や実用性だけでは
どこか寂しいのです。
もう一歩先へ。

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一本のボールペン。その造形美。
そして重量感。手触り、質感。
日々の仕事や暮らしのなかで
その感覚を楽しむくらいの余裕が、
ほしいものです。
日常遣いのアイテムですから。


1.きらめきへの羨望
〜長年愛用PLATINUM

多機能ペンではPLATINUMか
ジェットストリームを愛用してきました。
特にPLATINUMは美観が良いのです。
ボディの太さが丁度良く、
上品な光を放ち、きらめいています。
また、ボールペンの色を変える際の
ボタンの位置がボディ縦中央に。
だから書く際にそれが隠れるのです。
大抵のペンの機能切り替えボタンが
尾っぽにあり、書くとき丸見えに。
それを否定するものではありませんが
僕はそれが隠れたほうが美観として
どこか安心するのです。
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2.やすらぎへの憧憬
〜PILOTの木製、木軸のペン

グリップ部分の手触りが絶妙。
特にPILOTのS2Oシリーズの細いボディ、
温もりを感じる握り心地が大好きです。
また同社LEGNOシリーズは
書き心地というより、ペンケースに
入れて置くだけで安心感を覚えます。
クラッシックな造形に触れると
心静かになれます。
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3.強さへの私淑
rotring、LAMY、FABER CASTLEなど
ドイツ製ペン
頑強で研ぎ澄まされている感じで、
グリップ部分の工夫など機能美も。
全体の完成度の高さに目をみはります。
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特にrotringは不思議と安らぎを感じる
重量感があります。
また最近は鉛筆メーカーの
FABER CASTLEのシャープペンも愛用。
長年仕事でシャープペンを使うことは
ありませんでしたが、
文具店に陳列されたFABER CASTLEを
眺めていると、その美しさに見惚れ、
思わず数本を購入してしまいました。
書き心地も抜群で、アイデアの構想を
方眼目のノートに書く際は
紙という海をすいすい泳いでくれます。
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最後に。

ペンの好みは百人百様。
グリップ感や美観の好みも違うし、
価値観の置きどころも。
高級ペンてはなく、
廉価なペン
(僕はuni ball Signo0.38も大好き)
を日常遣いにされている方も
大勢いらっしゃると思います。

記述方法はデジタル化、
AIで進化が加速していますが、
自分にしかない筆跡を紙に記すことは
ペンなどの筆記用具でしか
成し得ません。

そういう意味でも
自分なりのペン選びに
こだわって良いと思います。
この小さな贅沢が
仕事や暮らしに彩りを
添えてくれます。

自分なりの逸品ペンをたずさえ、
ありがとうの想いを託して
日々を生きたいですね。

今日もお時間頂戴し、
ありがとうございました。

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ペンたちの反乱 [ステーショナリー]

先々週の夕方、職場にいる僕に
妻からメールが届き、
拙宅の僕の机あたりに
何本ものボールペンが散乱していると。

3年前、リモートワークを機に
狭い居間の片隅に設えた書斎コーナー。
そのささやかな我が聖地たる机には
僕の頭上の高さに棚が着いており、
手帳や筆記用具が所狭しと並んでいます。

要は、その棚から、
10本くらいのボールペンを入れた
ペン立てが、落ちたというのです。

机の上から25センチ程の高さの棚にある
ペン立てが落下し、ペンたちは、
机の上や床に、無残な姿で放り出され、
痛々しい姿が発見されたのでした。
妻はびっくり仰天、僕に通報した次第。

では、何故落ちたのか。

当日は窓を開けておらず、
風のせいではないことは確か。
ペン立ては特段歪な形状ではなく、
真っ直ぐに天井を向いて立っていただけ。
そのペン立ての容量は、15本まではOK。

何かの重力や威力、
それとも念がかかったのか。

そんなこと、考えても無駄と思いきや、
ちょっと待てよ、と、僕のなかで
ある思考が走り出したのです。

その日の午前中、職場の仲間たちが
ChatGPTについて議論していました。
ある条件を指定すればAIが文章を
自動で作成してくれるという、
そう、その便利さについてです。

業務効率が上がり、仕事の時短化が進み、
心のゆとりが生まれるという快適さを
同僚は称えていました。
ChatGPTは報道でも毀誉褒貶を纏うし、
自分自身で腹落ちしていなかったので
僕は半信半疑、黙っていました。

このことに、ペンたちが反乱したのでは。
いい歳をして僕は彼ら(ペンたち)の
声を想像したのです。

「あなたたち人間は、
自分で文章を考える力を失うことに
気づかないのですか」

「文章には心が宿るものです。
どんな文章も書き手の気持ちを纏います。今後は機械に頼るのですか。」

「僕たちの出番が激減するということは、
手っ取り早く済ませようという、
文章に対する冒とく、いや、
読み手への非礼ではないですか」

「長年連れ添ってきたペンたちを、
もう使わないからと、
箪笥に仕舞うのですか、
それともリサイクルショップに
売るのですか?
それって、非情ではないですか」

そんなふうに、僕には思えたのです。
当然に現段階でChatGPTを
全否定するものではなく、
何にどう使うか、の一点だと思います。
国や組織単位で様々なルールが
設けられるのでしょう。

一方で、ペンたちの声に
耳を傾けることの出来た、
拙宅の極狹の書斎における
このアクシデントに感謝する次第です。
それでなくても、パソコンや
スマホで文章を作るようになり、
ペンたちの出番はめっきり減りました。
それでもちょっとしたメモ書き、下書き、
当然に大切な人への手紙は
手書きでしたためます。

手書き文字、文体は
人柄を表すとも言います。

僕は亡き父母の文字、文体を
今でもはっきり覚えています。
物凄く美しい文字を書いた父。
達筆だけど読める粋な字の母。
僕の文字などは家族に
どう思われているのか、
特になんの印象もないとなるのか。

ChatGPTやAIの出現により、
より一層、手書き文字の魅力、
その意義や価値、自分で考えるチカラ
といったそれぞれの尊さが
脚光を浴びると思うのです。

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最強の言葉〜手帳の佇まい [ステーショナリー]

先日、ある新聞の編集長が
僕との雑談のなかで、
「私達は経験上、知ってるよね。
何とかなることを」と言った。
僕より少し上の60歳である彼女は
自らを鼓舞しているようでもあった。

どんな話の流れだったかは覚えていない。
世間話、僕らの世代のしがらみ、
そんな内容だったと思う。

彼女の言う通りなのだ。
半世紀以上生きてきて、 
それなりの修羅場があった。 
それとて、自分の解釈なのだが、
しんどい思いがあったわけで、
その時々、何とか食らいついて
自分なりに出来ることを尽くして、
時を過ごした。時を追いかけた。
そして今がある。

勿論、もっと出来たかもしれない。
真面目一辺倒を貫けたわけではない。
手抜きもあったし、人のせいにもした。
でも、常識の範囲で、何とか生きてきた。
そして、何とかなってきた。

「どうにでもなる」「どうにかなる」
と人は言う。「なるようになる」
「なるようにしかならない」とも。

そのうえで、僕は自堕落ばかりでもなく、
35年のビジネス人生を
沢山の方々の力をお借りして、
不器用ながら、
何とかここまでやってきた。

この手帳、knoxbrainがそれを知っている。
もう30年の付き合いだから。
この皺のひとつひとつ、
そして光沢の輝きが
我が人生の軌跡を浮き彫りにする。

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僕はその編集長に返した。
「そうですね。
僕らは、困難を乗り越えた後の、
安堵感や清々しさも知ってる。」
彼女は大きく頷きながら
「何でも楽しまなきゃ、損だって」。
いつの間にか僕は慰められていた。
僕は愚痴でもこぼしていたのか。

いずれにしても、良き言葉を拝受した。
これは天の言葉かもしれない。
そしてこの手帳との出会いも
天啓かもしれない。僕を支えてくれた。
ありがとう、ありがとう、ありがとう。

今回もお読み下さり、
ありがとうございます。
これからも「何とかしていきます!!」

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「クラッシックは永遠だ」 [ステーショナリー]

昨年末のBS-NHKプレミアムで放送の米国映画「マイ・インターン」を観ました。

ロバート・デ・ニーロ演じる、元電話帳制作会社の部長だった70歳のベンが、アパレル販売サイト運営のベンチャー企業にインターンとして採用され、その若きCEO、ジュールズ(アン・ハサウェイ)たちとの世代を超えた心の交流を描いた名作です。

初出社の日、ベンはスーツに身を固め、アタッシュケースを持参します。会社はファッション系、職場の殆どが若手でカジュアルスタイル。ネット通販会社ゆえに、当然にパソコンなどのIT機器が充実。

ペンは自分の席に座り、アタッシュを開けます。そこには、システム手帳やボールペン、小型クロック、メガネケースなどが入っており、全てクラッシックスタイル。
アタッシュはおそらくdunhill、ペンはCROSS、手帳はおそらくfILOFAX、クロックはBRAUNだと思います。いずれにしてもビンテージ感満載、使い込んだ風情が漂う逸品揃いで、思わず見とれます。
隣に座る若手社員は、ベンのアタッシュケースに惚れ込み、思わず自分も買ってしまうのでした。ベンは彼に言います「クラッシックは永遠だよ」。

この作品が素晴らしいのは、デジタル機器を使いこなしながら、アナログツールも重宝にするバランス感覚。

ベンのような高齢者と20代の若手が共に敬い、考えや価値観を受け入れて合って、会社を成長させていく姿です。

ベンはジュールズや若手社員の様々な相談に乗り、彼らと適切な距離感で接します。
そこにあるのは世代間や性別の格差ではなく、相互理解とヒューマニズム。出来過ぎた内容ではあるものの、夢があって素晴らしいと思いました。

デジタル機器の操作を学びながら、クラッシックなステーショナリーを楽しむベンは大変ダンディであり、演じるデニーロはカッコよく、正月早々ブルーレイディスクを買い、何度も観返しています。

今年は幸先良い感じ。
皆さまのご健勝ご多幸をお祈り致します。


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伴走 [ステーショナリー]

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僕の友人、漸く50代を迎えた彼の手帳は、「ほぼ日手帳WEEKS」。34年のシステム手帳狂の僕が、
2年前、彼に薦めた綴じ手帳です。

その夏、彼は1ヶ月ほど入院し、僕が薦めたその手帳に、病室での日々を書き記していたそうです。

例えば、毎朝必ず同じ時刻に窓外の鶯が鳴くこと、それは決まって午前4時45分との発見。あるいは、その日の看護師さんの優しい言葉。

先日彼から電話があり、「来年1月、また入院します」。彼は2023年版「ほぼ日手帳WEEKS」に、日々の記録や想いを刻むつもりと、言い添えました。

〈「ほぼ日手帳WEEKS」の魅力〉
①ライフログ、日々の想いの記録
過去の出来事、それに紐付く想いを辿るには、システム手帳よりも綴じ手帳のほうが、年度で一冊に束ねてあるので、重宝する場合あり。

②抜群のサイズ感
文庫サイズの「ほぼ日手帳」より「WEEKS」は小柄で細長く、ジャケットによっては胸の内側ポケットに入る。大き過ぎず小さい過ぎず、絶妙な大きさ。凄い。

③紙の質感と方眼
その紙は触り心地に安心感。ツルツル過ぎるとページをめくりにくいが、僕は適度なウェット感あり。また、方眼の自由さが落ち着く。

④フリーページの豊富さ
後半にある方眼の自由記載のページが沢山あるので、日々の日記、感じたこと、留めたい要点などを先頭に日付入りで記す。さすれば、前半のウィークリーのページの日々と頭の中でリンク出来る。

彼の電話を受け、僕は決めたのです。 
来年は3年ぶり※にライフログに限っては「ほぼ日手帳WEEKS」を使おうと。彼とお揃いの手帳を使い、彼のようにその日がどんな日だったのかを残そうと。
※3年前は、ライフログはWEEKS、越年するデータや言葉はシステム手帳の2冊を使用。

彼の身体が無事に回復し、健やかな日々が少しでも早く帰ってくるように。そして、彼のご家族が安心出来るように。僕には祈ることしか出来ないけど、せめて手帳で伴走したい、同じ時を刻みたいという僕からの勝手な想いですがね。
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言葉 [ステーショナリー]

朝日新聞夕刊のコラム「素粒子」を書いていた天野さんは著書「200字文章術」の中で、文章力を鍛えるコツは名文を読むことと記しています。

僕もそう思い、もう十年度前から、朝日新聞の「天声人語」のフレーズをシステム手帳に書き記しています。

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「天声人語」書き写し専用のノートも市販されていますが、僕の場合は、その日の全文を書くのではなく、過去掲載文の中から、自分の琴線に触れた名文フレーズをシステム手帳に書いています。

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具体的には、バイブルサイズのリフィルに、万年筆(PARKER51,ブルーブラックの文字)でしたためています。静寂の部屋でひとり、熱々の珈琲を飲んでから、気を集中させ、心を込めて書くのです。そのリフィルを、20年近く前に買ったfILOFAXの「KENDAL」に収めて、時折読み返すのは至福の時間です。

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新聞のコラムでは、読売新聞の「編集手帳」も日経の「春秋」も好きです。最も大切にしているのは、2007年4月から2013年3月の間の「天声人語」。特に冨永格氏の文章。東日本大震災を挟んでいる時期ゆえに、わが国の甚大な爪跡も含め刻まれています。その道程にあって、筆者の、大和言葉の選択眼と抜群のセンスが極まる文章表現力、温かく柔らかな眼差しが残されています。

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こうした名文を万年筆で記すとき、自ずと背筋が伸び、鼓動が高まり、深呼吸しながら、一語ずつ紡いでいきます。手前味噌ですが、ページに記した自分の文字が生きている感じがしてくるから不思議です。

この手帳KENDALは、僕にとって神聖なる場所。ウェット感ある上質レザーは、束ねるページの内容と相性が抜群だと思っています。

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これからもこの手帳を熟成させて、一緒に我が文書力と精神を磨いていきたいと思います。



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誤断 [ステーショナリー]

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東京駅前のオアゾにある丸善は
週2で顔を出す僕にとってのオアシスです。
書店としてだけでなく、
ステーショナリーやネクタイも
センスの良い品揃えで楽しくて。

一昨日のこと。
高級ペン売り場で僕が探していたのは
上品なボディだけどゲルインクが入る
単機能ボールペン。
ゲルインクはジェットストリームの多機能ペンを数種類持っていますが、今の僕は単機能ペンしか使いません。であれば、高級ペンで、スイスイと書きたい。されば、ゲルインクだろうと。

僕は暫くショーケースを眺めていました。
ケースの向こうには、黒縁眼鏡をかけた若い女性店員さん。一見、商品知識に長けたシャープなベテランふうではなく、ふわっとのんびりした印象。

「ゲルインクの芯が挿入出来る高級ペンって、どのあたりですかね?」という言葉を僕が押し殺していると、彼女は察したのか、「何かお探しですか?」と僕の前に立ったのです。僕は抑えていた言葉を吐き出しました。

そこからの彼女はファンタスティック。
ジェットストリームのゲルインクが使える海外ブランドを的確に言い表し、僕の言葉やリアクションから、僕が「PARKER」愛好家であることを見抜き、いくつかの商品を見せてくれました。ちょっと値が張るなと僕が言うと、「PARKER」は廉価なラインナップもあると、100円台からの膨大な量のボールペンが陳列してある売り場へ僕を誘い、ここに「PARKER」の「ジョッター」があると説明。芯も0.38ミリ、0.5ミリ、0.7ミリが入ると教示。

僕は黒ではなく、ブルーブラックはないかと質問すると、黒しかないと即答。
彼女は全ての反応が早く、流れるような身のこなし。僕はなんか心揺さぶられ、Amazonで買ったほうが安いであろう、PARKERのジョッターとジェットストリームの替え芯(インク)を即買いしたのであります。

帰路、僕は大変恥じたのでした。
即買いしたことではなく、
初見で彼女を見誤ったこと。
つまり、この人は詳しくなさそうだと 
勝手に判断したことを。
お陰でプロの仕事を堪能でき、
このペン代金、
大変安くつきました。
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ジョッター、fILOFAX「NAPPA」と「CHESTER」


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年波 [ステーショナリー]

先週、通勤用にPORTERのビジネスリュックを購入。

第7波が去った頃からリモートワークの数が減り、出社する機会が多くなってきた。
通勤往復3時間半で50代後半の僕は、通勤鞄には以下の優先順位でこだわりがある。

①軽くて比較的コンパクト「疲れない」
②外観とデザイン「美的センス」
③収納性と機能性「ポケッのト位置と数も」
④電車の中のマナー「背中は見れない」

よる年波には勝てない。
30代までは、上記③、②、①の順だった。
常に2冊のシステム手帳(バイブルとミニ6穴)と1冊の本を入れていることも一因となって①が本当に大事。最近では車内で背負ったときの周囲からのヒンシュクが気になり、④となる。車内マナーとして。

この20数年前からだろうか。電車の中の景色は大半がナイロン製のバックになり、この10数年前から、ビジネスリュックの方々があまたに。だから、たまに、使い込んだ革製のブリーフケースを持っている御仁がいると僕は羨望の眼差しになった。その艶と光沢を放つ革に見惚れた。

これまで僕はビジネスリュックに偏見があった。どこかスタイリッシュではないからだ。休日の延長線上の雰囲気だし、リュックを背負うことでスーツやコートの皺やたるみが気になっていた。
そして何より混雑した車内でごっついリュックを前方、胸の辺りで抱えると、今度は本が読みづらくなる。(何というわがまま!)

だからこれまでPORTERとManhattan Portageのナイロン製の手さげカバン計5個を使いまわしてきた。

でもリュックには、両手が空くという安全面のメリットがあり、かつ荷物の重さを片腕片肩だけでなく、全身で受けられるという、まさによる年波にはうってつけの効能がある。

先月、東京のオフィスビルのエスカレーターでコンパクトで薄い茶色のビジネスリュックを背負った三十代であろう若手の男性の、颯爽とした立ち姿を見た。
実にスタイリッシュ。その瞬間、これだ!!と。

この薄さ、このコンパクトさであれば、電車の中で背負ってもヒンシュクでない。A4用紙やシステム手帳、折り畳み傘が何とか入る。

それ以来、僕のビジネスリュック探しが始まった。様々なお店を覗き、ネット検索して、辿り着いたのは銀座ハンズ。
そこに東急ハンズと吉田カバンの共作、
この逸品が佇んでいた。
出逢ってしまった。

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縦は39センチで大きすぎず、幅(厚み)は10センチで、電車の中で背負ってもさほど迷惑はかけない程度。そしてなんといっても軽く、僕の大好きなブランド、PORTER。
3万5千円位したけれど、一生ものと考えれば激安。消耗品ではないのだから。

あと何年このリュックを使えるかは天のみぞ知るが、この作品と一緒に電車に揺られ、枕木をひとつずつ越えように、日々の特別な時間を重ねてゆく。

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