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多生の縁 [世相・センス]

この一週間の、
ありがたき多生の縁です。


その1
先週水曜の午前7時20分に、
横浜市内の大学病院に到着すると
僕の前に8人並んでいました。
午前8時に入口が開き、
受付や採血等が始まり、
午前9時から診察開始です。

僕の前に並ぶ80歳位であろうご婦人が
振り返り僕に
「今日もまた一段と寒くてねぇ」と
話しかけてこられました。

僕は「そうですねぇ」と
小さな声で答えたのでした。
彼女は白髪で痩身、
ピンクのオーバーを着ていた。

すると彼女はその前に並ぶ
70歳台であろう紳士に語り掛けました。
「あとどれくらいで開くのでしょうねぇ。
私は6時45分に家を出て着ました」。
グレーのジャンパーを着たその御仁は振り向いて「8時より前にいつも開きますよ。
もう少しです」と笑顔で返しました。

そこから、このお二人は会話を弾ませていた。どこから来ているのか、今持っているバックは重宝しているとか、息子夫婦が面倒をみてくれて等など、早朝の列の前後にたまさか居合わせた間柄とは思えない程仲睦まじく見えた。

彼の予告通り、入口は7時50分に開き、一人ひとりが1メートルの距離を置いて、入っていきます。このお二人は密接して会話をしながら進んでいます。入口の病院事務の方が手の消毒と検温を促すため、このお二人に「お連れ様ですか」と訊くと、紳士は違いますと朗らかに答え、ご婦人は歩くペースを落とした。待ち合いのソファーでも静かに穏やかにお二人は話していました。

この紳士の柔らかな物腰と佇まいに僕は感服したのでした。

その2
昨日の土曜、午前7時55分に僕は
いつもの通り食品スーパーの屋上駐車場に到着。既に70歳位であろうご婦人が到着していました。僕と彼女は二人して、屋上からの入り口前で、開店時間の8時をただ無言で待っていました。

8時になり、ふっくらとして40代位の警備員の男性が来られて、元気な声で「大変お待たせいたしました。今開けますからね」と言って、鍵を開けてくれました。そして彼は機敏にエレベーターの前まで走り、下方向のボタンを押すと、「今、エレベーターが来ますのでね」と明るく声かけをしてくれました。エレベーターが到着すると彼は自ら乗り込んで「何階ですか?」と僕らに訊き、該当階のボタンを押しました。そして「私は失礼します。お待ち下さり、ありがとうございました」と。

ご婦人と僕は思わずに「ありがとうございます!!」と声を合わせていました。
その言葉の余韻のなか、エレベーターは、二人だけで動き出しました。
すると彼女は「あんなに丁寧に言って貰えたら、本当に嬉しいですよね。なんか良い一日になりそうですね」と言われたのです。

僕も「本当ですね。ありがたいですね」と返していました。

彼女は2階でおり、1階へ向かう僕に「それではお先に失礼しますね。ごめんなさい」といって降りていきます。狭い空間に一人残った僕は、その背中に「行ってらっしゃい!」と声をかけました。

僕の暮らす街は、
ご高齢の方々が大勢います。
その言葉や佇まいから
教わることは多々あります。
年配の方々だけではなく
全ての方々からも。
謙虚に穏やかに、利他の気持ち。
ありがたいなぁと思います。

刻々と時はゆきます。
やがて僕も、
そういう高齢者になりたいです。
春はもう近くまで来ていますね。

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