SSブログ

一瞬ごとの。 [CINEMA]

「あの人は、でかいね。
いつも穏やかで、心静か。
どんな人にも、どんな出来事も、
どんな屈辱も戯言も、
にやりと微笑み、包み込んでしまう。

不機嫌にいじけたりせず、大きな懐で
小さなこだわりや、わだかまりを
丸ごと受け入れられる人。

人の態度や姿勢を変えようとせず、
目の前のこと全てに感謝し、
柔らかく引き受ける。

器が違う、度量が違う、人格が違うのだ。
自分の欠点との戦いに勝利している。

あらゆる悲哀、艱難辛苦をも
飲み込んだ孤高の境地の微笑み。
天から賞賛される人。

そう言われる人に私はなりたい。」

僕は、2020年のアニメ映画「ソウルフル・ワールド」を鑑賞後、傷心を負った若い頃に僕が作ったこの文章を思い出したのでした。

この映画のBlu-rayを買ったきっかけを思い出せないのです。本かネットで推薦されていたのか。僕はジャズ好きなので、その方面の人から教えて頂いたか。
いずれにしてもいい歳したおじさんである僕が、この作品とのご縁を頂き、大感謝、歓喜なのです。  

舞台は米国、ジャズの街。非正規雇用の音楽教師ジョーは、ある日、校長から、正規採用が決まったと言われる。喜ぶ反面、彼にはプロのジャズピアノミュージシャンになりたい夢があった。その直後に彼にジャズの大スターとの共演の機会が訪れる。その矢先、彼はマンホールから転落、不思議な世界に迷い込むのだった。
そこは人間が生まれる前の、魂の存在が集うワールド。そこで彼が経験したとは。

ネタバレはこれくらいにして、僕は本作は子供向けアニメというより、ジャズを楽しむ作品というより、大人向けに、人が生きる意味を問うた名作だと思いました。

僕らの生きる世界では、
楽しいことばかりではなく、
哀しくて、しんどくて、
憂鬱に感じることも多々あります。
哲学の書では、そういうことも
有り難い、必然のこととして
受け入れよとありますが、
辛いことを楽しく感じることは
人間なのでなかなか難しい。

でも甘味ばかり食べていたら飽きるし、
塩気のものも食べたくなる。
酸っぱいものも、苦味のあるものも。
ビターなスパイスを含めて人生の味わい。

どんな出来事も、
街角で風に揺らぐ木々の葉も、
陽光差し込むせせらぎも、
その瞬間ごと、息づく何かが必ずある。
何ごともない日常がどんなに有り難いか。

僕らの生きる一瞬一瞬が
宝物のような輝きのある時間なのだと
本作は教えてくれます。

瞬間ごとの出来事に感謝して、
苦味も含めて笑って包み込む。
吹き飛ばすことが出来る人でありたいと。

この作品を観終わって、
僕はミスターチルドレンの「HERO」の
歌詞を思い出しました。

「人生をフルコースで深く
味わうための
いくつものスパイスが誰にも
用意されていて
ときに苦かったり
渋く思うこともあるだろう
そして最後のデザートを
笑って食べる君のそばに、
僕はいたい」

最後までお読み頂き、
ありがとうございました。


nice!(1)  コメント(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

黒い輪の開いた先へ浪漫鉄道 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。