SSブログ

他力の風に吹かれて [BOOK]

昨日、職場の同僚が定年退職の
最終出勤日だった。
彼の約38年間の会社員人生、
5年間の最終シーズンを
僕は共にしてきた。

彼は出来るビジネスパーソンの
「お手本」のような人で
知識は豊富だし手先も器用。
知的で物静かだが、
自己主張すべきは
論理的に明確に言う彼を
僕は密かに「ミスタークレバー」
と呼んでいた。

定年後は、
サラリーマン人生の第2幕を
探すことから始めるとのこと。
晴耕雨読の、のんびりした日々は不要で、
空白の時間を作りたくないと、
一昨日、彼は僕に言った。

休んでしまうと、
体力と健康、精神の面で
復帰する自信がなくなると。
僕は大きく首を立てに振った。

五木寛之さんは著書
「他力」(幻冬舎文庫)で、
自分は誰かの「手本」にはなれないが
「見本」にはなれると記している。
勿論、謙遜してのことだが、
誰かに慕われ尊敬されることが
目的の人生ではないということ。
「すべての人が
たったひとりしかいない存在」
「この宇宙に
自分はたった一人の存在」だと。

五木さんのこの言葉に
凡人たる僕は励まされる。
「見本」くらいにはなれるかなと。

また、彼は再就職先への懸念は
さほどないと言った。
専門性のある業務を
してきたわけではないから、
つぶしが利かないと。
それでも、飄々とした佇まい。
羨ましく、眩しかった。

五木寛之さんは同著「他力」のなかで
「他力本願」の必要性を説く。
「他力本願とは、安易な他人依存とは、
根本的にちがいます。」

「私たちは見えない明日に、
心の底でおびえている。不安を感じ、
やり場のない嫌悪感にみたされ、
強い焦燥感を抱いて生きている。」

そこで必要なのが他力という奇妙な力。
「すべてが自分の責任と
いうわけではない。
目に見えない大きな力が
私たちを生かし、
思いがけない勇気とファイトを
もたらしてくれるときもある。」

定年を迎えた彼は
前向きで誠実な人。
きっと他力の風が吹くだろう。

僕も僅か数年で
彼と同じ時を迎える。
他力の風が吹くよう、
日々を懸命に生きたい。

ところで気付けば、ブログの掲載が
1,500回をとうに超えていた。
積み上げてきたものがある。
ひとつの「見本」になり得るか。
これもひとえに読者の皆さん、
ブログを運営くださっている方々の
おかげです。
この場をお借りして、
「ありがとうございます。」

今、他力の風を強く感じています。

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。